ファイトケミカルとはII
「ファイトケミカル」とは、炭水化物・脂肪・蛋白質などの主栄養素やビタミン・ミネラルなどの微量栄養素とは別格の植物由来物質(色素成分・辛味成分に多い)です。第7の栄養素ともよばれます。現在、食物の摂取で癌や慢性炎症が低下する理由が植物に含まれる「ファイトケミカル」であることが多数の医学研究で分かってきました。
20年前からすでに癌の化学予防として様々な「ファイトケミカル」が日本のみならず世界の癌学会・癌予防学会で報告されていました。
とくに「ファイトケミカル」成分の食物繊維・ポリフェノール抗酸化力・抗炎症作用が癌や慢性炎症を抑えていることが判明しています。乳がん・卵巣がんで使用されるタキソールという抗ガン剤も元はPacific yew treeという植物から抽出した「ファイトケミカル」です。
Pacific yew tree
植物には過酷で流動的な環境変化のなかで発芽し、さまざまな自己防衛機能が内包されています。たとえば植物の種子には、雨風にさらされる状態で、しかも腐敗を抑え動物に捕食されないよう、動物を遠ざける匂い・苦味の成分や酸化を抑える抗酸化成分などが含まれています。
植物の遺伝子は人間の3万5000をはるかに上回る4万種類にも達しているのは、こうした進化の中で獲得していきた自己防衛機構があるからなのです。そして、そうした自己防衛機能をはじめとする機能性成分が「ファイトケミカル」なのです。昆虫などの捕食者にとっては、「毒」といえます。
しかし、私たち人間がその「毒」を摂取すると体内に抗酸化物質などの体内保護物質が誘導されます。「ファイトケミカル」のポリフェノール類では特にアントシアニン(ブルーベリー・黒大豆)やカテキン(緑茶)には強力な抗酸化力が含まれています。たとえばカテキンの活性酸素の除去力は同じように抗酸化物質として知られるビタミンEの20倍にも達しています。
このような抗酸化力は「ファイトケミカル」そのものの抗酸化性というより、私たちの体内で抗酸化物質合成能力が高まった結果です。これは細胞などを使った様々な実験で確かめられています。「毒」という適度なストレスによって、体が強くなる例です。
同じポリフェノール類のイソフラボン(大豆)は、乳がんのプロモーターとなる女性ホルモンのエストロゲンの過剰分泌を抑える作用があり、発がんを抑制することは最近の欧米の医学雑誌にも多数報告されています。
このような「ファイトケミカル」は植物が昆虫から身を守るために外表に多く含まれています。果実であれば果皮に多く含まれます。したがって、農薬がかかっているといくら「ファイトケミカル」を摂取しても、それを相殺する農薬が体内に入るために有害になります。
また温室栽培のものと露地栽培のものとでは、ファイトケミカルの量はまったく違います。自然光に乏しい温室で機械的に作られた作物は、ファイトケミカルの含有量もずっと少ないことが分かっています。
ですから、安心して植物や果実を皮ごと食べられる無肥料・無農薬の自然栽培で露地栽培されているものが、体内「ファイトケミカル」誘導するためには必須となるのです。
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