抗酸化物質の豊富な食物の摂取で女性の脳卒中リスクが低下
野菜や果物、穀類といった抗酸化物質を豊富に含む食物を多量に摂取する女性では、心血管疾患(CVD)の既往の有無にかかわらず、脳卒中リスクが低いという研究結果が論文報告されました(Stroke(2012; 43: 335-340)。
酸化ストレスは細胞を傷害するフリーラジカルの産生によって炎症や血管の損傷・硬化を引き起こします。ビタミンC、ビタミンE、カロチノイド、フラボノイドなどの抗酸化物質は、フリーラジカルの除去により、酸化ストレスと炎症を抑制しますが、果たして人体でもこれが通用するのかはまだ不明で、むしろ否定的な研究結果が出されています。
今回の研究結果からは、食物由来の抗酸化能(total antioxidant capacity;TAC)が低いほど脳卒中リスクが高まったことが示されました。抗酸化物質の摂取量の多い女性は健康に対する意識が高く、健康なライフスタイルを実践し、それが結果に影響している可能性が依然としてあり、まだ結論は出ていないと考えます。
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→スウェーデンマンモグラフィコホートを使用し、同国のウプサラ地区とベストマンランド地区に住むCVD既往歴のない女性3万1,035人と既往歴のある5,680人を同定。対象女性の年齢はベースラインで49〜83歳であった。さらに、スウェーデン退院登録を用い、CVD既往歴のない女性のうち1,322人、既往歴のある女性のうち1,007人が追跡期間中に脳卒中を発症していたことを確認した。
食事に関するデータは食物摂取頻度調査票により集められた。同氏らはこのデータと標準的な食物データベースの値から、参加女性の総TACを算出した。TACは食事に含まれるすべての抗酸化物質が総体として持つフリーラジカル減少能を表し、異なる抗酸化物質間の相乗作用も考慮されている。同氏らはさらに、CVDの既往歴のない女性と既往歴のある女性をTACレベルによってそれぞれ5群と4群に分類した。
CVDの既往歴のない女性のTAC最高五分位群では、TACの約50%を果物と野菜から得ており、そのほか、全粒穀物(18%)、茶(16%)、チョコレート(5%)などがTACに寄与していた。
解析の結果、CVDの既往歴のない女性の最高五分位群では、全脳卒中リスクが最低五分位群と比べて17%有意に低かった。また、CVDの既往歴のある女性の第2〜4四分位群では、脳出血リスクが第1四分位群と比べて46〜57%有意に低かった。
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