小児期の野菜・果物の低摂取が成人期の動脈硬化と関係
小児期の生活習慣、特に野菜・果物の摂取が少ないことが若年成人期の動脈の硬さと関係することを示すデータが、発表されました(Circulation, 2010.12月14日号)。
対象はCardiovascular Risk in Young Finns Studyの参加者1,622例で、登録時の1980年の年齢は3〜18歳でした。27年間追跡し、小児期からの生活習慣に関するデータを収集。2007年に脈波伝播速度(PWV)測定を行いました。脈波伝播速度(PWV)の数値が低いほど、動脈硬化が進行していることになります。
解析の結果、小児期の野菜の摂取と成人期のPWVとの間に負の相関関係が認められた(β=−0.06、P=0.02)。この関係は一般的な危険因子 (HDLおよびLDLコレステロール値、トリグリセライド値、収縮期血圧、BMI、喫煙)を調整後も有意でした(β=−0.07、P=0.004)。
野菜の摂取はまた、生活習慣または一般的な危険因子を調整後も成人期のPWVの独立予測因子でした(それぞれ β=−0.08、P=0.002、β=−0.07、P=0.0007)。さらに、小児期〜成人期の野菜および果物の高摂取は、低摂取と比べPWV低値と有意な関係を示しました(P=0.03)。
小児期の生活習慣の危険因子の数(野菜および果物摂取、身体活動、喫煙の最低五分位)は、成人期のPWVと直接関係していました(P=0.001)。この関係は、成人期の生活習慣の危険因子の数を調整後も有意でした(P=0.003)。
小児期での食習慣は以後ずっと続くために、ひとつの指標としては有用かも知れません。子供の将来を考えるうえでも食習慣は重要ですね。
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